友達が「オモコロ杯」のためにおしっこを飲んだり食べたりした話
【閲覧注意】
この記事はマジでタイトル通り友達(成人女性)がおしっこを飲んだり食べたりします。
お食事中の方、おしっこが苦手な方、おしっこアレルギーの方は自己責任で閲覧ください。
ある日のことだった。その日は冬とは思えないくらい外の日差しがあたたかく、早すぎる春の訪れを感じる日だった。仕事が休みだった僕はそんな外の陽気にも関わらず家でゴロゴロしていた。すると大学時代の友人、中岡まゆからこんな連絡が来た。
暇は暇である。現にその時はYouTubeを観ていた。だが、時刻はもう夕方。今から外に出るのはちょっと面倒くさい。おそらく飯でも行こうという誘いだろう。彼女には申し訳ないが、今日は遠慮しておこうと少し時間を置いて返信をした。
ん?
「尿を飲んでいるところを写真に撮ってほしい」?
何を言い出すんだ急に。この陽気で気が変になったのか?
僕も訳が分からず「新鮮な方がいい」という意見に同意してしまったし。知らないよ。尿は尿だろ。
が、僕には一つ思い当たるふしがあった。嫌な予感がした。
当たった。「オモコロ杯」である。
「オモコロ杯」とはインターネットメディア「オモコロ」が主催する「インターネットでおもしろい記事や漫画を発表して、たくさん褒められたりする大会」のことである。
僕は高校生の頃からずっとオモコロを見てきた。たしかオモコロを中岡に勧めたのも僕だ。そのオモコロの大会に尿を飲むことでエントリーしたい・・・ということらしい。もっと他にあるだろ。なぜ飲尿をチョイスした。なんなら何年か前に別の人がやってたぞ。
オモコロを勧めた僕もどこか責任を感じたため、仕方なく待ち合わせ場所に向かうことにした。
待ち合わせ場所のグラウンドに行くと彼女はど真ん中に立っていた。遠い。
まゆ「LINEでも言ったけど、今日は尿を飲むので写真撮って欲しいんだよね」
僕「本当にやるの…?」
まゆ「やる」
やるのかあ~~
まゆ「ちょっとじゃあ出してくるわ」
といってわかりやすく便所と書かれているトイレに向かう中岡。コップを持っているとドリンクバーにでも行くのか?という感じであるが、そのコップに注がれるのは自身の身体から出る排泄物である。
しばらく待つ。異様に静かだ。人が尿を出しているのを待つ時間というのはこんなにも静かなのか。
・・・もしかして尿意が無いんじゃないか?
だったら早く帰ろう。ガストにでも行こう。普通にドリンクバーを頼もう。メロンソーダとコーラを混ぜてメロンコーラとか言ってたあの頃に戻ろう。
ガチャ
扉が開く音がした。
何笑ってるんだよ。
まゆ「『人前で尿を出す』ということと『今からこの尿を飲む』という通常では考えられない状況についていけず、自分でめちゃくちゃ笑っちゃってる 」
僕「そりゃそうだ」
中岡いわく「最初と最後は菌が入りやすいと授業で習ったので、ちゃんと中間の尿を取った」とのこと。(言い忘れたが彼女は現在看護学校に通っている)
学んだことを最低の形で生かすな。
コップを覗くとそこには金色の液体が満ちていた。尿である。
思えば他人の尿をリアルで見るのは初めてだった。親の尿でさえ見たことが無い。
まゆ「寒かったからあったかくて嬉しい」
よく見ると指先の血行が良くなって赤くなっている。
尿で暖をとるなよ。
近くで学校帰りであろう子供達が楽しそうにグラウンドを駆けている。今から行われる狂気が信じられないほどに平和だ。
まゆ「・・・」
僕「どうした遠くを見つめて」
まゆ「あの子たちがいなくなってからにするわ・・・」
尿を飲むところを子どもたちに見られたくないようだ。良識はあるらしい。
君たち、このお姉さんはね、今から尿を飲むんだよ。
子どもたちは僕たちのことなど気にも留めず、どこかに走り去っていった。
まゆ「じゃあ、いっちょ・・・いただきます」
尿入りのコップを口に近づける中岡。果たして・・・
(においを嗅ぐ中岡)
ダメだったらしい
辛そう。もしや泣いてるのか?
えづきながらも何度も挑戦する中岡。
何度もコップを口元に運んではためらっている。
僕「泣いてない?大丈夫?」
まゆ「いや、大丈夫・・・じゃあ今度こそ・・・いただきます」
ついに尿を飲む中岡。果たして・・・
だろうな。
あ!
どこに行く!?
まゆ「馬鹿」
何に対しての馬鹿だ。
まゆ「こんなもの飲むヤツは馬鹿」
中岡が言うには「思ったよりもしょっぱさとえぐみがスゴイ」らしい。
たった数分の出来事であったが、今年いっぱい脳みその裏に焼き付くであろう瞬間だった。
尿は飲んだ。よくやったよ。誰も褒めないだろうけど、俺は褒めたい。だから早く帰ろう。
まゆ「まだ・・・やる・・・」
なんだと
まゆ「そもそも私は高校の頃から『おしっこをキンキンに冷やしたら味覚が鈍ってゴクゴク飲めるんじゃないか?』ってずっと疑問に思ってるから、それを解決したい」
ん?
「おしっこをキンキンに冷やす」?
キンキンに冷やすことによってゴクゴク飲める?
・・
・・・
無理だろ。
ちなみにこの「おしっこをキンキンに冷やしたら味覚が鈍ってゴクゴク飲める説」は、オモコロの「匿名ラジオ」で取り上げてもらったらしい。そして、「オモコロ杯」もあるし、いい機会だからやってみよう!イエイ!ということで実行に至ったそうだ。(ちなみに、ラジオでは「おしっこは罪だから飲んじゃダメ」という結果で締めくくられていた。罪深い女である)
僕「じゃあ何で直で飲んだんだよ」
まゆ「常温では飲めないことを確認したかった」
僕「分かりきってたことだろそれは」
まゆ「じゃあ、また連絡するわ」
そういって中岡は帰っていった。仕方が無いので僕も家に帰ることにした。
尿も元あるべき場所へ帰っていった(トイレに流していた)
帰宅後、夕飯を済ませて今日の写真を一人見返していた。
マグカップについだお茶が尿に見えてきて、なんだか嫌な気持ちになる。
そんなことを思っていると中岡からビデオ通話の着信があった。
もう持ってるな。
いらんことは行動が早い。
僕「そう言えば思い出したんだけど、さくらももこのエッセイに『尿は冷やすと余計えぐみが出てまずい』ってあった気がするわ」(たしか『さるのこしかけ』だったと思うが、飲尿健康法の話が出てくる)
まゆ「でもそれはさくらももこの尿が冷やすとえぐみの出る尿であっただけで、一般的にはそうでないかもしれない。少なくとも私の尿には冷やすとえぐみがなくなって飲めるという可能性がある」
さくらももこに対してめちゃくちゃ失礼なことを言うな
飲み方としては尿(新鮮)に氷を入れる「尿ロック」だった。画面越しに氷が浮かんでいるのが見える。
尿ロック。果たしてゴクゴク飲めるのだろうか。
まゆ「あ~~」
まゆ「無理だったわ」
僕「 だろうな。」
予想通りの反応に笑ってしまった。
まゆ「でも、ストレートに比べると飲みやすい」
僕「まじかよ」
これは後に調べて分かったのだが、飲尿健康法初心者はまず氷を入れて飲むのがいいそうだ。氷が溶けて尿が薄まるかららしい。一生やらないけど。
僕「疑問は解決できた?」
まゆ「できた。おしっこはキンキンに冷やしてもゴクゴクは飲めない」
結論:
おしっこはキンキンに冷やしてもゴクゴクは飲めない!
僕「(結論見えてたけど)疑問が解決できてよかったね。じゃあ記事にまとめるか」
まゆ「いや、まだやる」
僕「えっ」
まゆ「もっと美味しくできる方法を考えてみる」
長年疑問に思い続けてきたことが解決したと思ったらまだやると言い出す中岡。
僕「ストイックが過ぎる」
まゆ「また連絡するわ」
そういって通話が終了した。
僕は風呂に入ることにした。入浴剤の色が黄色で尿の風呂に入っている感じがして、とても嫌な気持ちになった。
風呂から上がると中岡から写真が届いていた。
カップケーキか。いいじゃないか。
そう、中岡は尿を飲みたいなどと頭のおかしいことを言う節があるが、趣味はお菓子作りという至って普通の女子なのだ。きっと気晴らしに作るのだろう。
ん?
何だこの液体は。
聞くのはやめた。というか無視した。
無視していたら追撃が来た。
できたらしい。悪魔のようなカップケーキが。
次の日。昨日の快晴が嘘のように、朝から雨が降っていた。ただ気温が高いからかムッとした空気が流れる。今から尿入りのカップケーキを見せられる僕の心境を表しているかのようだった。
まゆ「待ってたよ」
待ち合わせ場所に行くと中岡はもういた。
サイゼリヤの天井のような傘をさしている。
カップケーキの入った箱には「毒」と「食べたらしぬよ」書かれていた。
かわいらしいドクロの絵まで描いてある。毒と分かっていて何故食べようとする。
まゆ「でも、見た目では尿が入ってるって分からなくない?」
僕「まぁ確かに・・・」
見た目は可愛い。インスタ映えしそうなお菓子である。毒だけど。
※ちなみに制作中の写真を見せてもらったが、本当に尿を混ぜている上にかなりパンチの効いた写真だったので割愛します。
まゆ「実は今日、カップケーキに合うと思ってコーヒーも入れてきたんだ~」
僕「えっ」
言葉を失った。まさかこのコーヒーは・・・
まゆ「コピ・ルアクだよ」
(※コピ・ルアクとはジャコウネコの糞から採れる超貴重なコーヒーである。
要するにジャコウネコのウンコのコーヒーである)
尿入りカップケーキとウンコのコーヒーってもう下ネタの際(きわ)じゃねえか。
しかし僕は少しだけ安堵していた。
僕「尿でドリップしたコーヒーだと思った・・・」
まゆ「そんなことするわけないでしょ!!」
僕「そんなことしかねないから思うんだよ」
もうどこにも「常識」なんてものはなかった。
(相変わらずにおいを嗅ぐ中岡)
まゆ「においはまったくしない」
僕「チョコレートのところだからじゃない?」
とは言え、昨日よりはだいぶマシなようだ。
まゆ「じゃあ、いただきます!」
果たしていけるのか・・・
あれ?
もしや意外といけるのか?
まゆ「あー・・・」
ダメだったか。
まゆ「とっても美味しいで~す♡」
僕「嘘つけ」
盛大に吐いてたじゃねえか。
まゆ「いや食べれなくはないけど、やっぱりほのかにしょっぱさとえぐみがあるし、尿が入ってると思うと飲み込むのに勇気がいる」
どんなに頑張っても尿味(にょうみ)は消えないようだ。
まゆ「勇気を出せばいけなくはないかもしれ・・・」
ペッ
いけねえじゃねえか。
その後ウンコーヒーを飲みつつ食べ進める中岡。
彼女は今、おしっこを食べ、ウンコを飲んでいる。
まゆ「慣れてきたわ」
尿味に慣れたという中岡。その後バクバクと食べ始めた。
そして
完食。
食いきった。マジでよくやったよ。
結論:
おしっこはキンキンに冷やしてもゴクゴク飲めないが、カップケーキにすると慣れればいける!
・
・・
・・・
まゆ「はい、小島君にもあげるね」
あっ
まじか
もう一個あるんだ。
というか俺の分なのか。
人生最大の「ありがた迷惑」だ。いや、ありがたくない。ただの迷惑だ。
しかし・・・しかしだ。
僕には一つ、この数奇な体験を通して思うことがあった。
冒頭に出てきた「おしっこをキンキンに冷やしたら味覚が鈍ってゴクゴク飲める説」が紹介された「匿名ラジオ」。実は、「理想の友達を作り出せ!『親友』のコーナー!」という回だったのだ。架空の友達像を創り出すというこのコーナ、中岡は「『おしっこをキンキンに冷やしたら味覚が鈍ってゴクゴク飲めるんじゃないか』という疑問に対し『よっしゃ!やってみよう!』と言ってくれる人が親友の条件です」と言っていた。
※そのシーン:https://youtu.be/tnzERvDS8hE?t=11m37s
その『親友』って僕のことじゃないだろうか。
「こんな理想の友達、いるわけないよね」という気持ちで書いていたのかもしれない。普通、おしっこをキンキンに冷やして飲みたいと打ち明ければその時点で友達は霧のように消えていくだろう。
中岡は僕のことを親友だと思ってくれている。はず。
僕も自分のことを親友だと思ってくれる人を大事にしたい。
他ならぬ親友の頼みを、断るわけにはいかない。
親友を裏切ることは出来ない。
スッ…
ダッ!!
いや食えるかい!!!!
普通に考えて!!!!!
尿ケーキなんて食えるかい!!!!!
バーカ!!!!!
でも一つだけ分かったことがある。
尿を見せたり
見せられたり、
そんなことが平気で出来る時点で・・・
僕らはもう・・・
〜おわり〜
もうひとつのカップケーキは結局本人が食べました。
あと、コーヒーは普通に美味しかったです。
尿を飲んだり食べたりした人:中岡まゆ
それを見て、文章を書いた人:小島えも