側から見れば乳首を愛撫している

他人は自分が思うほど自分のことを見ていないと人はよく言う。

確かに、今僕はこの記事を電車を待ちながら書いているのだが、今この場で髪の毛をむしり「お昼ごはんが少なかっただけですから!!お昼ごはんが少なかっただけですから!!」と叫びながら食べるなんてことをしない限り、僕のことを見る人はいない。こんなことを書いている間に電車に乗ったが、電車内で自分の姿を見た人はただスマホをいじっている人としか思わないだろう。

しかし、そうは言っても他人の目というのは気になってしまう。ただスマホをいじっているだけなのに女子大生あたりに写真を撮られ「電車にキモいやついたwww」とTwitterにつぶやかれるのではないかと不安になってしまう。

特に他人の目が気になる瞬間がある。それは自分が何か恥ずかしい「やらかし」をしてしまった時だ。階段ですっ転んだり、イヤホンと腕が引っかかり耳からものすごい勢いでイヤホンが飛び抜けた時、僕は背中に嫌な汗が流れるのを感じる。

「今の瞬間、誰かに見られたのではないだろうか…笑われたんじゃないだろうか…」

そんな不安が脳内を駆け巡るのだ。

 

僕は仕事柄、スーツを着用する。その際、胸ポケットにボールペンをしまっていることが多いのだが、よく胸ポケットにボールペンが刺さっていないのにボールペンを取ろうとしてしまう時がある。するとどうなるか。側から見ればまるで左乳首を下から上へサッとひと撫でしたようになるのだ。この「やらかし」が一番恥ずかしい。

皆仕事に集中しているので見ていないとは思う。しかし、万が一見られていたとしたら。

「うわ、あいつ職場で乳首愛撫してやがる」とか「妖怪職場乳首愛撫変態男」と思われても仕方がない。場合によっては今後の関係に支障をきたすかもしれない。職場で乳首をそっとひと撫でしてるやつなんかと仕事ができるわけがない。

 

だから僕は乳首をひと撫でしてしまった時、自分史上一番キリッとした表情をしている。「ご安心ください。今のはボールペンがあると勘違いしただけであって乳首を瞬間的に愛撫したわけではありません。今後とも僕とビジネスライクに良好な関係を築いていきましょう」と祈りながら。その顔は、社内の誰よりもビジネスマンだ。

 

というか満員電車の中で「乳首を愛撫」とか書いている方がよっぽど怪しいな。この辺で失礼します。