落書いて、人生。【ケンギフカルチャーサミット】
アートって何だろう。
こんなことをふと考えたりする。
シュールレアリズムとか、レディメイトとか、モダンアートとか、ポストモダンとか・・・
言葉として学び、作品として学んでもなお、説明することが出来ない。
アートとは、一体何なのだろう。
そんなモヤモヤとした気持ちが生まれてくる。
と、いうわけで今回、岐阜県の可児市で行われている「ケンギフカルチャーサミット」に行ってきた。
公式サイト:kengifuculturesummit
「岐阜県で岐阜県に所縁のあるアーティストたちによるアートショー」
と銘打ったこの企画。
主催したのはTOMASON:TOMASON (@tomason_kt) | Twitter
という岐阜で活躍するアーティスト集団である。
どこかのちょっとビターな唇泥棒のようなアー写
このTOMASONでイラストを描いている開登[かいと](写真左2)は大学の同級生で、
厄介ごとがあるとよく「まじ、頼む、ホント、お願い」と電話をかけてきた。
そんな縁でTOMASONの活動をたまに手伝っていたので、他のメンバーとも仲良くさせてもらっている。
地元岐阜でアートショーをやることが開登の長年の夢であった。
念願かなっての展示である。
だが、今回の展示で7年続いたTOMASONとしての活動を終わりにするという。
この「ケンギフ」はいわゆる最後の晴れ舞台という訳だ。
会場に着くと、ちょうど開会式が行われようとしているところだった。
TOMASONメンバーによる開会宣言のあと、ヨルトエという可児出身のバンドによるライブがあったり
TOMASONメンバーとダンサーのシゲキさんによる創作ダンスも披露された。
また、会場内には岐阜県出身のアーティストによる作品も展示されていた。
もちろん、TOMASONによる作品も展示されている。
ところどころにオチンチンがいる。
用事があったので途中退散してしまったが、夜の10時までイベントは盛り上がったそうだ。
僕自身も岐阜出身だが、こんなにも岐阜出身のアーティストがいることに驚きだった。
が、それ以前に開登はどこで彼らと知り合ったのかが気になった。
思い返せば彼は学生時代から謎の多い男だった。
僕らはデザインの大学にいたのだが、彼は一年生の頃にデザインをすることをやめ、
「落書きはアートだ」
と言って、アート活動(落書き)をするようになっていた。
同級生たちが自分の持ち物にTOMASONのステッカーを貼っていたのを覚えている。
彼と仲良くなったのは大学三年生の頃からである。
友人たちとフリーペーパーを作ろうと企画をしていた時、「TOMASONとして何かやらせてほしい」と言ってきたのである。
その頃には自分でTシャツを販売したりと精力的に活動していた。
僕の卒業制作では彼にインタビューもした。
開登自体は卒業制作のプレゼンテーションで、「展示室に3メートルほどの小屋を建てたい」と言って教授をブチ切れさせていた。
そして小屋を建てることを諦めた彼は、なんと卒業制作会期中に会場近くのギャラリーで個展をやってのけたのである。
思い返すと何もかも懐かしい。
写真中央、彼が乗っている表彰台のようなものは彼の卒業制作である。
赤瀬川原平の「四谷の純粋階段」を模したオブジェに自身の絵を描きまくっている。
これを見ていると、卒業制作の直前に開登から
「ちょっと時間ないから小島君の家で作業させてくれ。まじ、ホント、お願い、時間がない」
と頼み込まれたことを思い出す。
当時、僕は大学近くに友人と二人で平屋のボロ家を借りていた。
一緒に住んでいた友人は「お前の部屋でやるならいいよ」と言うので深夜、純粋階段(を模した段ボール)を二人で家に運び込んだ。
寒い中、他に来ていた友人に背中をシバかれながら黙々とペンを進めていた。
明け方、集中力が切れてくると大好きな「でんぱ組.inc」を流しながら、奇声を上げて作業に没頭していた。
この頃、個展の準備も同時に進めていたので、寿命を削っていたんじゃないかと思う。
またある時は、
「TOMASONのドラマ作るから、頼む、出演してくれ、マジで、お願い、ホント、TOMASONのこれからがかかってるから」
と言って河川敷に呼び出された。
ドラマの内容は「河川敷にある便器と青年の友情物語」だった。
開登は便器を演じていた。
「ワシは便器じゃ」
今思い返すと何だったんだこれは。
ちなみに、僕は「便器を取り壊しにきた市の職員」役だった。
こんな便器、取り壊されて当然だ。
そんな彼は卒業後、東京に行ってしまった。
東京に行ってからも創作活動は留まることを知らず、SNSでその活躍を見ていた。
ラジオも始めたりして、ある女性作家からボロカスに批判もされていた。
そんな彼が今回、長年の夢だった「地元岐阜でのアートショー」をやってのけたのだ。
一友人として、誇らしく思う。
反面、同い年でここまでのことをやってのける彼に少し嫉妬する。
なんか、遠くの存在に感じてしまって寂しくなることもある。
改めて、「アートって何だろう」と思う。
冒頭にも書いたが、「アート」を説明できないモヤモヤとした気持ちが心に生まれる。
「アートとは何か?」という出口の無い迷宮には、誰かが掘った難しい名称の穴ぼこがいくつも空いていて、人々はそこに自身の身体を埋めている。僕はその穴につまずいて身動きが取れなくなっていたのかもしれない。
ただ、この「ケンギフカルチャーサミット」はそんな迷宮の天井をぶち壊して、広い空があることを教えてくれた。
分かりづらい例えで大変恐縮だが、要するに今回の展示を見ていて、
TOMASONや他のアーティストの方々の作品から
「難しいことなんか気にすんなよ、みんな楽しければそれでいいじゃないか」
というメッセージが聞こえてきたような気がしたのだ。
きっと開登自身も難しいことを考えず、ただ自分の好きなように動いていると思う。
(難しいことを色々と考えていたのならごめんね)
TOMASONとしての活動は終わるらしいが、たぶん個人での活動は続くのだろう。
これからも彼は自分の好きなように落書いて落書いて落書きまくるはずだ。
もしかしたらまた「マジ、頼む」の電話もあるかもしれない。
それには暇だったら応えようと思う。
とりあえず、開登、ねっこさん、なすくん、やまもとくん、おおはしくん
7年間、お疲れさまでした。
これまでTOMASONの活動を間近で見ることができて幸せでした。
たくさんの刺激を与えてくれてありがとう!!
・・・なんかこれで終わりみたいな書き方をしてしまったが
ケンギフ自体は2/5(月)まで開催中とのこと。
このブログを読んでいるあなた、要チェックですよ。
(もう行ったという方、楽しかったですね)
ケンギフカルチャーサミット
日付 / 2018年 2月3日(土)〜2月5日(月) AM10:00-PM10:00 ※最終日は16時まで
場所 /可児市文化創造センターala
〒509-0203
岐阜県可児市下恵土3433-139
TEL:0574-60-3311
URL:http://www.kpac.or.jp
■最寄駅
・名鉄 日本ライン今渡駅(タクシー5分、徒歩10分)
・JR 可児駅(タクシー10分、徒歩30分)
■高速道路でアクセス
東海環状自動車道 可児・御嵩IC(約15分)
中央自動車道 多治見IC→国道248号線(約25分
(437台収容の無料駐車場をご用意しております。イベント時は込み合いますので皆様での乗り合わせ、または公共交通機関のご利用をお願いいたします。)
URL:http://www.kpac.or.jp/access/